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概念を奪われる人間と奪う侵略者の駆け引きの先にあるのは……イキウメ「散歩する侵略者」:舞台芸術02

イキウメ「散歩する侵略者」@シアタートラム、約2時間10分。201711、4800円。

http://www.ikiume.jp
https://setagaya-pt.jp/performances/201710sanposuru.html

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その概念を奪われると人はどうなるのか

2005年に初演、その後、2007年、2011年に再演され、今回が4回目の舞台公演(改訂上演版)。また、同時期に本作を原作に黒沢清監督による映画版が、WOWOWでスピンオフドラマも放送された一作。

進化した人間に対する羨望と嫌悪の先に感じるもの、イキウメ「太陽」:舞台芸術05
イキウメ「太陽」@シアタートラム、約2時間10分。201605、4500円。

日本海に面した小さな港町・金輪町で数日間の行方不明の後、別人格になって発見された男性とその妻を中心とした作品。夫である男性の発見と前後して以降、ある特定の概念を失い、それについて理解できなくなる奇病が流行りだす。

一方、金輪町は同盟国の大規模な基地を要した町で、隣国との軍事的緊張が高まっており、そこに政治的な関心を抱き、取材に訪れた金輪町の元警察官でジャーナリストの桜井。彼が出会った少年とのやり取りのなかで、ある”侵略者”の影に気づく。

作中、奪われる概念はさまざまだが、人間が生きていく上で必要な事柄ばかり。たった1つの概念でも奪われるだけで日々の生き方に支障が出る人もいれば、奪われたことで解放されたと感じる人もいる。侵略者の意図が見えるにつれて奪われることへの恐怖を感じるものの、終盤に奪おうとするあるものを巡り、そのストーリーに変化が生じる。

イキウメ作品では「太陽」「語る室(カタルシツ名義)」「聖地X」「新しい祝日」「関数ドミノ」「片鱗」を観てきたが、観劇後の虚しさや後味の悪さはそれほどでもない作品と言えそう。ひょっとするとこのあたりはやはり映像化された「太陽」とくらべても、より多くの人に受け入れられそうかもしれない。

次回公演は2018年5~6月に東京芸術劇場シアターイーストで「図書館的人生 Vol.4 襲ってくるもの」。

作・演出:前川知大
出演:浜田信也、安井順平、盛 隆二、森下 創、大窪人衛、内田 慈、松岡依都美、栩原楽人、天野はな、板垣雄亮


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