映画03:性欲を描くもどこか滑稽さを感じさせる「愛の渦」

愛の渦、201403。123分。
http://ai-no-uzu.com/



演劇ユニット「ポツドール」が上演した同名公演「愛の渦」を、主宰の三浦大輔氏自らが監督として映画化した作品。六本木のマンションで行われる乱交パーティーに集まった男女8名の一晩が描かれている。
舞台は2009年の再演版を観賞。その際のキャストや場面写真は劇団サイトにて確認できます。
http://www.potudo-ru.com/past/past18.html
これに対して、映画版では池松壮亮と門脇麦が主演。それ以外にも遠藤憲一や中村映里子、柄本時生、田中哲司、窪塚洋介等々と、舞台版と各登場人物の雰囲気は大きく変わらないものの、著名な俳優が起用されているのもポイントと言えそう。
じゃあ、どんな作品なの?と言うと、予告編を見るのが1番手っ取り早い。


大根仁監督による「恋の渦」は舞台版含めて未見なので分からないけれど、R18指定を受けている「愛の渦」は性描写が入っていて映画化を聞いた時に「えっ、映画化できるもんなんだ」と驚いた。本作以外で舞台版を観た作品で言うと、「顔よ」「夢の城」「おしまいのとき」も性や暴力描写が入っていて、映画化されるのならやっぱり驚くと思う。
■映画版と舞台版で感じた違い
舞台版と映画の場所設定的な違いはと言うと、舞台版は全員が集まる部屋が1階、行為に及ぶ部屋が2階。映画版は行為に及ぶ部屋が地下、シャワーや着替える部屋が2階と、場面の切り替えがしやすい分、柔軟性がでている感じ。また、舞台は舞台上で行われることもあり、基本的に役者陣は左から右、右から左の動きだったのに対し、映画は奥から手前といった動きもできるのも違いといったところ。
また、大筋のストーリーも同じなものの、重さよりも明るさを感じるシーンが多かったような気もした。これは三浦監督がパンフレットの対談で言及した「登場人物の感情、個々の人物に寄り添って描いています」というところの起因しているかもしれない。
それと性格が暗めに感じた童貞設定の登場人物が映画ではぽっちゃりとした駒木根隆介となったことで、性格が明るい童貞によるセックスがどこか滑稽で、映画の登場人物も観ている観客側も笑いを生んでいた所も影響しているかもしれない。舞台版はどこか薄暗い感じもし、三津谷葉子演じるOLがとあることで叩き落とされるシーンもハッと場内の空気を引かせるほどではなかった。
この性描写というのは、映画版と舞台版で表現のアプローチが異なっているようで、本作の場合、上半身は女性であっても露出(もちろん、前提には映倫等の規制基準もあるのでしょうが)。ただし、演出や女優サイドかによって映像上は写っていない人物もいれば(例:三津谷葉子)、主演かつストーリーの進展でその性衝動の強さが見えた門脇麦演じる登場人物は激し目の演出だった(ちなみに劇中で明確な役名はなし)。
一方、舞台版は薄暗いというところと、そもそも見えにくいという前提はあるものの、男性において下半身もそれっぽい露出はあったりもする(観客サイドにおおっぴらには見せてはないけれど)。
■映画版か舞台版か

上述のように大筋でストーリーは同じものの、どこか明るさを感じさせる映画版と、結末まで非現実な一晩さを感じた舞台版ではどちらが良いというのは一概には言えない。
ただ、本作において舞台版が優れている点を挙げるのであれば、その場で演者が演じていることによる観客席に対する“音の突き抜け”があるという点。映画版はどうしても劇場のスピーカー次第によるので、生々しい音というよりは収録された音という感じが強かった。舞台は場面転換の関係で爆音を鳴らすケースは多々あるのだけれど、本作においては改めてその効果があるものだと感じた。
また、「愛の渦」というよりは「夢の城」で感じたところなのだけれど、どこか人の生活を覗き見しているような錯覚を感じるのは舞台版の長所とも言えるのかもしれない。
とは言え、非日常でありながら、現実の日本であるであろう現実世界を描いている本作は映画であっても舞台版であっても一見の価値はあるのだと思う。また、台詞調ではなく、どこか口語調を感じる演出手法をとる作家、劇団も多くはないので、その点を含めて足を運んで良かったと感じた。
ちなみに本作。東京では今時点でテアトル新宿とヒューマントラストシネマ渋谷でやっているのだけれど、後者に関しては要望を受けて女性限定曜日が設定されたそうなので、判断に応じて出向く映画館を選んでも良いかもしれない。
・テアトル新宿
http://www.ttcg.jp/theatre_shinjuku/
・ヒューマントラストシネマ渋谷
http://www.ttcg.jp/human_shibuya/

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